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【入浴×スポーツ 第2回】疲労や筋肉痛に効く、おすすめの入浴法 【東京ガス都市生活研究所】

スポーツ後の疲労や身体の痛みは、日が経つにつれ、和らぎます。しかし、できるだけ早く、しっかりと対処して疲労を残さないことがスポーツのパフォーマンスアップには大切です。「入浴×スポーツ」をテーマに、第2回となる今回は疲労回復に効果のある入浴法を、国際医療福祉大学大学院の前田眞治先生にお聞きしました。

最終更新日:2024.1.8

目 次

目的に合わせた入浴法を知る

「入浴×スポーツ 第1回」では、疲労物質と筋肉痛(痛み)のメカニズムや、血流との関係を紐解き、入浴で血流を良くすると、疲労や痛みを早く回復できることをお伝えしました。

引き続き、リハビリテーション医学や温熱医学を専門としている国際医療福祉大学大学院の前田眞治先生にお話を聞きながら、疲労回復におすすめの入浴法や注意点などをご紹介します。

スポーツ後の入浴で注意することは?

スポーツをした後は体温が38〜39度まで上がり、身体に対して非常にストレスが加わった状態です。また、運動の後は交感神経が高ぶっていて、入浴をするとより交感神経が活発になります。

ジムにいる女性たち

PIXTA

そのため、いきなり熱いお風呂に入ると、身体に負担がかかるので、スポーツ後は30分ほど休憩をして、身体を整えてから入浴するようにしましょう。また、入浴の前には水分もしっかりと補給するようにしましょう。

血流量がUPする温水浴

入浴する女性

PIXTA

身体を温めると、血管が開き、血流量が多くなります。血流が良くなると、疲労物質が洗い流されたり、損傷した筋肉を再生させたりします。また、収縮していた筋肉が伸び、痛みを和らげる効果もあります。

例えば、ランニングをした場合、さきほどお伝えした通り、高くなった体温を一度、クールダウンさせる必要があります。平熱に戻ったら、今度は身体を温めて、収縮した筋肉を伸ばして、脚や腰の痛みを和らげましょう。

「身体を動かして、筋肉を付けることを目的にしているリハビリテーションでは、筋肉をほぐしたり、痛みを和らげたりするために温熱を利用することも。温めることで腰や脚、関節の痛みが和らぎ、筋肉が柔らかくなって動かしやすくなり、その結果、筋肉が付くという相乗効果が期待できます」と前田先生は話しています。

温水浴のおすすめの方法

・41度の温水に10〜15分入る。

血管の弾力性が増す温冷交代浴

足を押さえる人

PIXTA

温水浴だけでも血流量が多くなりますが、よりスポーツ後の疲労回復に効果的なのが温水と冷水の交代浴。血管は冷たいとぎゅっと収縮し、温かいと広がります。これを繰り返すと血管の弾力性が増し、血流が良くなります。血管の弾力性が増すと、疲労物質を洗い流すだけではなく、動脈硬化の予防や高血圧の改善にも繋がります。

前田先生は「血管に対しては瞬間的な刺激を与えたほうが効果的なので、徐々に温度を上げたり、下げたりするのではなく、冷水とお湯の両方を用意してください。家庭では温水と冷水それぞれの浴槽を用意するのは難しいので、冷水シャワーでもOK。ランニングの後であれば、特に脚を使っているので、足もとからゆっくりとシャワーをかけてください。毎日でもいいですが、最低でも週2〜3回は温冷交代浴をすると効果的です」と話しています。

温冷交代浴のおすすめの方法

シャワー

PIXTA

(1)30度ぐらいの冷水に30秒入る(またはシャワーをかける)。
(2)41度の温水に10〜15分入る。
(3)5分ほど休憩をする。

上記(1)〜(3)を3〜4回繰り返す。

筋肉痛や炎症が強いときは?

手首を冷やす人

PIXTA

スポーツによって筋肉や腱を痛めた場合、身体を温めると損傷が広がってしまいます。まずは損傷した部分を保冷剤や氷などでクーリングをしましょう。

前田先生は「冷やすことによって細胞の活動が鈍くなり、損傷の広がりを抑えることができます。また、痛みを伝える神経の伝達速度を遅くする効果もあります。クーリングをやめると、今度は血液を送り出して、冷えた組織を温めようとします。そして、冷やした部分が平熱ぐらいの体温になると、血流が良くなり、白血球や赤血球などの働きで損傷を治します」と話しています。

つまり、まずは疲労した部分、痛めた部分をしっかり冷やして、損傷が広がらないようする。その後、冷やすのをやめると血流が戻る。そして、入浴でさらに血流を良くすると、損傷した組織をより早く修復する・・・ということなのですね。

運動習慣がない人は漸温浴(ぜんおんよく)を

給湯器を操作する人

PIXTA

運動習慣がない人がスポーツをした場合、スポーツによって心臓へ負担がかかっていたり、血圧が高くなっていたりすることがあります。入浴で血流を良くして、「疲労物質を洗い流す&損傷した筋肉を再生させる」ことが、筋肉痛の軽減に繋がります。身体に負担がかからないように、ぬるめ(39〜40度)で入浴するのがおすすめです。

しかし、季節によってはお湯から出たあとに寒く感じるかもしれません。

そんなときは、漸温浴(ぜんおんよく)を試してみてください。深部体温はあまり上げず、表面温度だけが上がるので、身体へのストレスが少なく済みます。お湯から上がったら、脱衣所ではなく、浴槽の横で身体を拭いてください。気化熱で体温が下がるのを防いでくれます。

漸温浴(ぜんおんよく)のおすすめの方法

(1)39〜40度の温水に20分入る。
(2)好みの温度まで上げて、1〜2分入る。

おわりに

スポーツ後の疲労の度合いや身体の状態、またトレーニングの内容によって入浴法を変えたり、入り方に気をつけたりするだけで、「普段の入浴」から「疲労回復に効果が高い入浴」へと変わるのですね。スポーツの後はお風呂を上手に利用して、疲れと痛みをなくしましょう。
次回は、スポーツによるケガと痛みに備える入浴法をご紹介します。

  • この記事研究調査

    東京ガス都市生活研究所

    東京ガス都市生活研究所

    社会の変化や都市に暮らす生活者についての多面的な調査・分析を実施。将来のライフスタイルやニーズを予測し、生活者が豊かな暮らしを創造するための情報を提供するとともに、さまざまな提言を行っています。

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公開日:2020.1.29

最終更新日:2024.1.8

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