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【小児科医に聞く】赤ちゃんを旅行に連れていけるのはいつから?

【小児科医に聞く】赤ちゃんを旅行に連れていけるのはいつから?

赤ちゃんが少し大きくなってきたら、家族で旅行したいと考え始めるママやパパもいることでしょう。国内の帰省、温泉旅行、海外旅行なども含め、赤ちゃんはいつから旅行に行けるのでしょうか。旅行の計画の立て方や移動手段、持ち物などについて、けいこ豊洲こどもクリニックの小児科専門医 塚田佳子先生に伺いました。

最終更新日:2024.3.13

目 次

赤ちゃんの旅行はいつからOK?

塚田佳子先生

Keiko Tsukada

赤ちゃんはあっという間に成長してしまうもの。思い出作りのためにできるだけ早く一緒に旅行したいと思う親御さんもいると思います。赤ちゃんはいつから旅行に連れて行ってもよいのでしょうか。

「赤ちゃんとの旅行を計画するなら、早くても首が据わる4カ月以降ですね。安心して旅行したいなら、腰がしっかりとしてきてお座りができたり、寝返りができたりする6カ月を過ぎてからがおすすめです。この頃になると膝に座らせたり、抱っこしたりしても安定感が出てきます」(塚田先生)

赤ちゃん連れ旅行は「どこ」へ「いつ」がおすすめ?

チャイルドシート

PIXTA

赤ちゃんとの旅行を考える時、まず留意したいことを伺いました。

赤ちゃん連れ旅行の行き先と注意点

「赤ちゃんはデリケートなので、気温が大きく違う場所に連れて行くのはなるべく避けた方がいいでしょう。初めての赤ちゃん連れ旅行なら目的地は近距離に。また、実家の近くなど、緊急時に対応しやすい場所の方が望ましいですね。大前提として、事前に旅行先の医療機関は必ず調べておきましょう。1歳未満のお子さんは小児科を受診する方がいいと思います」(塚田先生)

赤ちゃん連れ旅行のおすすめシーズン

赤ちゃんとの旅行を計画する際は、季節や天候も重要です。

「基本的に真夏や真冬は避けるのが望ましいです。お盆やお正月に帰省するときなどは、最寄りの医療機関を把握しておきましょう。また、予定を組んでいても台風、大雨など悪天候の際は移動も大変ですし、体調が不安定になりやすいので慎重にしたほうがいいですね」(塚田先生)

赤ちゃんとの旅行、温泉や海外もOK?

温泉

PIXTA

温泉旅行や海外旅行に赤ちゃんを連れて行くのは生後どのくらいからOKなのか、また計画を立てる際のアドバイスを伺いました。

温泉旅行はいつから可能? 注意点は?

「赤ちゃんが温泉に入るのは、6カ月以降が望ましいでしょう。体が小さい赤ちゃんは、大人が思っている以上にのぼせやすかったり、水分の蒸発量が違うので、たくさん汗をかいて脱水症状になりやすかったりします。入るならぬるめの温泉に短時間にしましょう。皮膚もまだ薄いので、刺激のある強酸性や強アルカリ性の温泉は避けたほうがいいでしょう」(塚田先生)

海外旅行はいつから可能? 注意点は?

「赤ちゃんの首が安定した4カ月以降が望ましいでしょう。旅行先を選ぶポイントとしては、まず『時差が大きくない国』を選ぶこと。日本との時差があると、赤ちゃんの睡眠リズムが崩れてしまい、睡眠の質が下がってぐずりやすくなったりするので、親も旅を楽しめなくなる心配があります」(塚田先生)

また、目的地の水質が、日本と同様の「軟水」かどうかも選ぶポイントだそう。

「海外は水道水も硬水の国も多いですが、硬水でミルクを作ると、過敏な赤ちゃんだと味の違うミルクを拒否して、全く飲まなくなってしまうこともあります。そのため、軟水の国の方が安心ですね。硬水の国に行きたい時は、旅の前に硬水のミネラルウォーターでミルクを作って飲ませてみて、味に慣れさせておくなどの準備も必要です」(塚田先生)

宿泊施設の選び方

浴衣

PIXTA

赤ちゃんと旅行する際の宿泊施設はどんなところがおすすめなのでしょうか。チェックしておきたいポイントを挙げていただきました。

赤ちゃんと宿泊する際に重要なポイント

  • 離乳食を用意してもらえるか(もしくは持ち込みが可能か)
  • ミルクの準備ができるか
  • 洋室であればベッドガードやベビーベッド、和室であれば赤ちゃん用布団の用意があるか
  • 客室に風呂があるか


「客室にお風呂がない場合、赤ちゃんと入浴するにはあまり適さない大浴場を使うことになります。室内に風呂があるか、あるいは家族風呂があるかどうかをチェックするといいでしょう。近頃は、『ベビーウェルカム』をテーマにしている宿泊施設が増えていて、ベビーベッドやベビーバスはもちろん、消臭できるオムツバケツ(オムツ入れ)やおしり拭きウォーマーなど、便利な赤ちゃんグッズを備えている施設もあります。こういった施設は赤ちゃん連れが多いので、周囲に気兼ねすることなく旅を楽しみやすいと思います」(塚田先生)

赤ちゃんとの旅行、どんな手段で移動する?

チャイルドシート

PIXTA

赤ちゃん連れ旅行では、移動手段や移動時の過ごし方についてもしっかり考えておく必要があります。

「乗り物を使った長時間移動の際のアドバイスとしては、乗る前にできるだけ寝かさないで思い切り遊ばせて、移動中に寝てもらうと親は楽です。移動時間を赤ちゃんの睡眠時間にできると一番いいですね。電車や飛行機の場合、体温調整がしやすいようにブランケットや脱ぎ着させやすいカーディガン類などを用意しておきましょう」(塚田先生)

ちなみに、赤ちゃんは乗り物酔いはしないのだそう。乗り物酔いに気をつけるのは2歳頃からでよいそうです。

塚田先生に、乗り物別のアドバイスも伺いました。

自動車

「自動車は、荷物が多くても楽に移動できる、乗り換えがないなど利点が多く、赤ちゃんのペースに合わせて移動できるのが最大のメリットですね。長距離移動の場合は、チャイルドシートに長時間続けて座らせっぱなしにならないように注意する必要があります」(塚田先生)

長時間のドライブの場合は、こまめに休憩を取るなどして赤ちゃんの体調に気を付けたいですね。

列車

トイレ

PIXTA

「列車移動の場合は、赤ちゃんは横抱きまたは膝にのせることになるので、足元は広い席の方がいいですね。赤ちゃんがぐずったりすると迷惑に思う乗客もいるので、通路に移動しやすい席、トイレに近い席が便利です。私自身の体験では、新幹線などで移動の時はトイレにオムツ交換台が付いている号車を確認してから乗っていました」(塚田先生)

新幹線にベビーカーを持ち込む場合には、最前列または最後列の座席を予約すると、折り畳んだベビーカーを置きやすいでしょう。

飛行機

男の子

PIXTA

「飛行機の場合は、事前に席を選んで予約しましょう。飛行機の座席の前に赤ちゃん用の簡易ベッド『バシネット』が付けられる座席、荷物を置きやすい足元が広い座席がおすすめです。ANAやJALなどの大手航空会社は、客室乗務員の方に粉ミルクと哺乳瓶を渡せばミルクを作ってきてくれます。離乳食は、事前に登録しておけばサービスしてもらえる航空会社があります」(塚田先生)

飛行機の「バシネット」とは、座席の前に設置する赤ちゃん用簡易ベッドのことです。航空会社によって細かい利用条件は異なりますが、基本、対象は2歳未満までの子どもで、体重10キロ程度までという制限を設けていることが多いです。ただし、ハイシーズンの人気路線などでは予約できないこともあります。利用する航空会社のサービスを事前に調べておけば安心です。

また、離着陸時、自分で耳抜きができない赤ちゃんには、母乳やミルクを飲ませたり、おしゃぶりをくわえさせてあげるといいでしょう。

赤ちゃんの体調不良などに備えて持っていくと役立つもの

お熱

PIXTA

赤ちゃん連れの旅では、やはり不意の体調不良が心配です。旅行の準備の中でつい忘れがちですが、特に多い発熱についての対策はぜひしておくとよいでしょう。またお腹の調子を崩したときの備えもしておくと安心です。

体調不良に備えて必ず持っていきたいもの、ぐずった時などに持っていくと役立つものを塚田先生に小児科医の立場から教えていただきました。

体調不良に備えて持っていきたいもの

必ず持って行きたいもの

  • 母子手帳・医療証
  • おくすり手帳

発熱や胃腸の不調への備え

  • 体温計
  • 解熱剤(赤ちゃんが飲めるもの)
  • 冷却シート
  • 経口補水液(OS-1)
  • 普段食べているベビーフード


解熱剤については、塚田先生によると、「小児の場合、薬は体重に合わせて処方するため、基本的に小児科で処方してもらったものを持って行くのが安心です。服薬はスポイトもしくは哺乳瓶の乳首、スプーンを使用します。 ゼリーやお粥に混ぜて食べさせてもよいでしょう」とのことです。

また赤ちゃんの体調不良に備えて、念のために経口補水液(OS-1)や食べ慣れたベビーフードを持っていくのもおすすめだそう。

「もし体調を崩してしまった場合は、ミルクを少量にして様子を見ることも必要です。具体的には、 経口補水液(OS-1)をティースプーン1杯ずつ、5分間隔で与えるか、ミルクの1回量を半分に作り、飲ませる回数を増やすことが大切。総量を保てればベストです。

ミルクしか飲めない子や完全母乳のお子さんには、一回に与える量を少なくして授乳回数を増やすように意識してください。

また旅行先で発熱した場合や胃腸炎になった場合、特に乳児は食べ慣れているものでないと食べないことがあるので、普段食べているベビーフードも持っていくとよいでしょう」(塚田先生)

ぐずった時や寝かしつけに持って行くとよいもの

赤ちゃん

PIXTA

移動中、赤ちゃんがぐずってしまった時、さっとなだめられるお役立ちグッズはどんなものがあるでしょうか。

「普段から使っているおしゃぶりやタオルや、キャラクターのお人形など、赤ちゃんの好きなもので運びやすいものを持っていきましょう。お母さんの心臓の音を聞いたり、においを嗅いだり、密着すると安心できるお子さんが多いので、密着できる抱っこひもなどもある方がいいですね」(塚田先生)

おわりに

赤ちゃんとの旅行は親子の絆を深め、貴重な思い出になるもの。「せっかく旅行に出掛けるなら事前にいろいろと備えて、旅先では写真や動画をたくさん撮って楽しい旅行にしてください」と塚田先生。家族皆が笑顔になれるように、計画や準備を考えてみましょう。

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  • この記事取材先

    塚田佳子

    けいこ豊洲こどもクリニック

    塚田佳子

    獨協医科大学医学部卒業、獨協医科大学附属病院勤務、那須赤十字病院勤務(小児神経外来)獨協医科大学医学部 小児科学教室 非常勤助教(小児神経)
    資格・所属学会
    小児科専門医、子どもの心相談医、身体障害者福祉法指定医
    医学博士
    日本小児科学会、日本小児科医会、日本アレルギー学会、日本小児神経学会、日本てんかん学会

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公開日:2024.3.13

最終更新日:2024.3.13

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